活字の森 思考の迷路

読んだ本や考えたことなど徒然なるままに書いていきます

味噌汁は原爆以外に流行病にも有効か?

秋月辰一路「体質と食物 健康への道」を読んだ。

呼んだと言ってもおよそ60ページほどの本なのであっという間に読めてしまう。

 

 

秋月辰一郎(あきづきたついちろう 1916年〜2005年)は長崎県出身の医師。

私はずっと前に「長崎に原爆が落とされたときに味噌汁で大勢の命を救った人だ」と聞いたことがあった。以前、Amazonで書籍を探しているときに偶然オススメに上がってきたので購入した。

月氏被爆当時、爆心地から1.8キロにあった病院に勤務。廃墟になってしまった病院の建物で原爆の被害に遭った人々の治療に当たり続けた。薬も医療器具も灰燼に帰して何もないなかでの奮闘だった。

病院は長崎市の味噌・醤油の倉庫にもなっていたので自身も従業員も「わかめの味噌汁」を摂るようにした。すると秋月氏にも患者の救助や人々の治療に当たった従業員にも原爆症が出なかった、というのである。

原爆投下当時の話は「体質と食物」ではなく同じく秋月氏の著書「死の同心円」に詳しいが、そちらには原爆症の対策として「塩気の強い玄米ごはんと塩辛い味噌汁を食べることと甘い物は避けるように、砂糖は絶対にダメだ」と指示していた話が書いてあるようだ。

 

f:id:pengin-dou:20211005215301j:plain

 

「体質と食物」は、味噌汁の啓蒙書と言っていいだろう。

月氏が医師を志したのは幼少の頃から多病虚弱でそれを自ら克服したいと考えたからだという。しかし、対症療法や手術療法ではなく、人間の体質を作り変えて病気に罹らなくて済む身体、病気に罹っても軽くて治る身体を目指し、人間の身体を作るのは食物だということにたどり着いた。結核に罹り天井を眺めながら真剣に身体を改造して出直そう、そのためには食物を改めようと決心した。「『悔い改めよ』でなく、食い改めよ』である(19ページ)」とは至言である。

食い改めることにした秋月氏は当時、滋養によいとされていた卵や牛肉や牛乳ではなく味噌汁こそが体質改善の鍵だと考え、「揚げ豆腐とわかめとを実とした味噌汁は、日本人の本当の要の食品であると確信した(21ページ)」のである。実際、秋月氏が診療するなかで滋養のために卵、牛乳、肉を摂っている患者よりも毎日味噌汁を飲んでいる患者の方が治りが早かったようだ。

月氏は自身も毎朝1杯の味噌汁を欠かさず摂りつつ、戦時中で医師不足であったためまだ結核が癒えていない身体で働き出した。そして長崎の病院で原爆に遭ってしまった。

本書ではまだ「放射能の害を、わかめの味噌汁がどうして防ぐのか、そんな力が味噌汁にどうしてあるのか。私は科学的にその力があると信じている(23ページ)」と書くにとどまっているが、福井県のマルカワみそのサイトには「みそには放射能物質を除去する効果があるといわれています」とある。なんでも味噌に含まれるジピコリン酸という物質に放射能を吸着して排出する作用があるらしい。1986年のチェルノブイリ原発事故以来、チェルノブイリやヨーロッパ諸国への味噌の輸出もおよそ2トンから14トンに急増したという。味噌、本物である。

marukawamiso.com

 

味噌汁は薬のように急激に効くものではないが、毎日1杯取り入れることで体質が変わっていくのだそうだ。しかも、大豆を料理に取り入れるのではダメで、発酵させて味噌煮してこそ力を発揮するようだ。乳酸菌などの有用な最近も摂取できるので腸内環境もよくなる。また、朝の空腹時に飲むのが一番効果的だという。

医学的には

  1. アルカリ体質を作る
  2. 寄生虫の予防になる
  3. 虚弱体質を変える
  4. 若々しく長寿を保つ

という効果を得られるというのだから、飲んで損はない。

私は夏になるとあまり味噌汁を飲まなくなってしまうのだが、明日の朝からまた毎日味噌汁を飲もうかなと思う。秋月氏のオススメはわかめと揚げだが、私は具だくさんの味噌汁が好きだし、毎日いろいろな実で楽しみたい。きのこ県の信州出身者としては味噌汁にきのこは外せない。健康面から言えばきのこも大事だと思う。

 

長崎で原爆の後遺症から秋月先生とスタッフを救ったわかめの味噌汁だが、わかめに含まれるヨウ素がよかったとは考えられないだろうか。わかめに含まれるヨウ素は微量だが、毎日摂取し続けたことで秋月先生たちを救ったのではないかと考えてしまう。

また、日本人は海外の人たちよりも放射能に強いのかなと感じたこともある。広島も長崎も放射能が何万年も残って人々が住めなくなるといわれていたようなのに、被曝された方を除けば現在、多くの皆さんが健康的な生活を送っている。

福島第一原発の事故でも同じようなことがいえる気がする。日本を助けてくれた米軍のトモダチ作戦で、作戦に参加した兵士の皆さんの中には重い後遺症に苦しんでおられる方も多いと聞く。

news.yahoo.co.jp

日本人で苦しんでいる方がニュースにならなかっただけかもしれないが、もしも本当に米軍の皆さんよりも福島の皆さんや自衛隊の皆さんの症状が軽いならば、これも味噌汁の力なのだろうか。

 

そう考えていて、それならば他の病気はどうなのだろうと気になり始めた。他の病気とは私たちに2年も不自由な思いをさせている新型コロナだ。

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスだが、日本人の罹患者が世界に比べて少ないことが話題になった。元々衛生的な生活をしているからだとか、BCGの予防接種がよかったのだ、などいろいろな説があったが、もしかして味噌汁も関係しているだろうか?秋月氏のいうように味噌汁が日本人の体質を病気に罹りにくくしたり、罹っても軽症で済むようにするのだとしたら、それは新型コロナにも当てはまらないだろうか?また、日本でも新型コロナに罹って後遺症で苦しんでいる方もおられるが、その方々は味噌汁を毎日飲む生活をしていたのかどうか。また、ワクチン接種で副反応が出る人と出ない人がいるが、そういう人たちの味噌汁摂取率はどうなのか。ちょっと気になってしまった。

ちなみに私は夏になるとあまり味噌汁を飲まなくなると最初に書いたが、そうは言っても週に2回は飲んでいる。そんな私のワクチン接種の結果は、副反応まるでナシだった。注射した方の腕がちょっと痛む程度はあったが、発熱や倦怠感などは全くなく、いつも通りの体調だった。念のため書き添えておくとワクチンはファイザーだった。

みなさんはどうでしたか?副反応のあるなしに味噌汁は関係していましたか?

 

さて、明日の朝の味噌汁の実は何にしようかな。