活字の森 思考の迷路

読んだ本や考えたことなど徒然なるままに書いていきます

「死は終わりではない」とスピリットは語る

人間は死んだらどうなるのだろう。

きっとあの世にはあの世の生活がある。

天国や地獄というものも本当に存在するのだろうか?

私は自分の心のレベルにあった世界に行く——天国も地獄も自分の心にある——という説をとっている。心がいつも穏やかなら穏やかな天国のような世界に、いつも誰かを攻撃したり意地悪しているのなら地獄のような世界に行くというように、天国と地獄は神様か誰かがしつらえた場所ではなく、魂自身が自分の心根のレベルにあった世界に行くという感じ。

死んでみないと本当かどうかわからないけれど。

自殺した人は人間が数えられないくらい長い時間地獄で苦しむとか、その人が本来持っていた寿命までの年月を自殺をくり返し続けるという説も聞いたことがある。飛び降りなら飛び降りを毎日毎日寿命だった年月まで続けるというのだ。この説は自殺の抑止にはなるかもしれないが、愛する人自死で失った人には残酷すぎる話だ。

では本当は自殺したらどうなるのか。

自殺した青年の霊が霊媒師を通した語った話がある。こちらの本だ。

 

 

実はこの本を見て最初は「やあ、ぼくはエリック。そうさ、死んだ人間だよ」というタイトルだと思ってしまったのは内緒。

 

著者のエリック・ドメフスは二十歳の誕生日を迎えた直後に自らの頭を拳銃で撃ち抜いてこの世を去ったアメリカの青年。14歳の頃から重度の双極性障害に苦しんだ果てにとってしまった行動だった。

ということでこの本はエリックのスピリットがジェイミー・バトラーという「スピリットの声の通訳者」を通して語ったものだ。共著に名前を連ねるエリーサ・ドメフスはエリックの母で、悲しみのあまりジェイミーに連絡を取り息子とチャネリングしてもらったのだ。

ということで、この本は質問に対する。エリックの一人語りで、エリックが喋った通りに現代の若者言葉で書かれている。

エリックは自殺に至る経緯から、自殺してしまったあとの気持ち、あの世の生活、そして現在の自分の役割に至るまでを赤裸々に語っている。

 

エリックは頭に向けて銃を撃ったあと、自分は

「しくじった、死にそこなったんだ!」

と思っている。しかし、混乱したまま下を見下ろすと自分の体が見えて自分が死んだことを悟る。そしてうろたえた。

「そうか、もう戻れないんだ。どうにもならないんだ。自分で決めたことだから仕方ないけど、クソっ、なんてことをやらかしちまったんだ。取り消したい!いまならいのちの大切さがわかる。もし元に戻せたら、証明してみせる!」

 

しかし、エリックはもう戻ることは出来なかった。

葬儀で自分をほめてくれる友人たちの言葉を聞いて

「ぼくが生きているときは、その手の話を聞いたことがなかったから、なんで、生きている間に話してくれなかったんだ、って思った。そうだろ?ほんとうの気持ちを話すのに、死ぬまで待つべきじゃない」

これは本当にそうだ。

いくら照れくさくても、感謝の気持ちやいいところはどんどん言葉に出して伝えていこう。私はそう思ってなるべく実行している。大切なことを教えてくれたエリックくんに感謝。

このあと彼は魂になってからの感覚や時間経過の感じ方などを語り、先に亡くなっていた親族との再会についても語る。

そして、エリックとして生きていたことを振り返り、反省すべきを反省し、その反省のために苦しみ、そして救われていく。傷ついた魂を癒すためにあの世でセラピーを受けて立ち直っていく。

エリックは「もっと心の声を聞いていたら、もっと幸せに生きられただろう」と思い至るが、この言葉は生きている人間みんなが心に刻んでおくべきだと思う。

 

エリックはあの世での生活も語っている。あの世は想念の世界なので思ったものを創り出すことが出来る。考えただけで家を建てたりバイクや楽器を出現させることも出来る。

 

死後の世界をいろいろと教えてくれたエリックは、現在アストラル界にいてスピリットガイドとして自殺を考えるほど悩み苦しんでいる人を助ける仕事をしている。主にインターネットを使って助けるから、死にたいと考えている人の中に入りネットで「死」「自殺」「喪失」「息子」などという特定のキーワードを検索させ、エリックのお母さんが運営するブログ「チャネリング・エリック」に導いているようだ。そして、そこで悩みを相談し、誰かがくれるレスで救われるようにする……そんな働きをしているという。

チャネリング・エリックはメタフィジックス通信で何度も紹介されている。

metaphysicstsushin.tokyo

 

この本は身近な人を自死で亡くして苦しんでいる方に読んでほしい一冊だ。

 

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最近はスピリチュアルの世界で「人生は何もかもシナリオ通りで人間に自由意思はない」という説を唱える人が増えてきた。

私はこの説が好きではない。今起こっていることはすべて予め決まったことだと言われて生きる元気が出る?

今起こっていることがすべて計画通りなら安心して生きられます〜という人は救われない現実を味わっていない人じゃないかと疑ってみている。

全てシナリオ通りというのなら、自死することも予め決めて来たことで、全く悪いことではないことになる。それを人生を自らリタイアするのはよくないと自死についてだけいうのはちょっとなあ……という感じ。

もしも自死も決めて来たことだということならば、なぜエリックはあの世に言ったばかりの時に自分でしでかしたことを反省させられているのか、ということにもなる。

私かつてYouTubeであるスピリチュアリストの話をよく聞いていたが、その人が「人生は全部シナリオ通りで人間に自由意思はひとつもない」と言い出してからほとんど聞かなくなってしまった。人生のどん底にいる人には何の励ましにもならないし、絶望から救われないのよ、その説は。聞けば聞くほど苦しくなる。「いやいや、自分で決めて来たことだから乗り越えられるんですよ」と言われても、悲惨なまま死を迎えたら死んだあとに「あ〜、計画通り苦しみを学べた。よかった」って思うってことでしょ?それ、肉体を持った人間として希望出る?私にも自殺も殺人も計画通りって考えられるほど人間が成長する日が私にも来るんでしょうかね。不幸や不慮の事故にも引き寄せの法則が働いているという説は頷けるんだけど、人間に自由意思はない説は頷けない。私の魂のレベルが低いせいかもしれないけど。

ただし、自死もシナリオ通りで別に悪いことじゃないということが本当ならば、残された人たちは救われると思う。