活字の森 思考の迷路

読んだ本や考えたことなど徒然なるままに書いていきます

消えゆく日本の伝統と新たな風物詩

今年もひとりで年末年始を過ごした。

私は正月飾りなど最低限のことはする方だが「まあいいか」と手を抜いてやらないこともある。おせちや正月料理がそうだ。とりあえずお雑煮を作っても自分しか食べないのでそれほど力を入れて作らない。

そして今日、ふと実感したことがある。

そうか、こうやって日本の伝統は失われていくんだ、と。

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昔、おじいちゃんやおばあちゃんが一緒に暮らした大家族の生活ではおそらく伝統は綿々と伝えられていったことだろう。うちも祖父母が元気でいた頃はお正月のおせちもちゃんと一の重には何を詰めるかなど伝統を守っていたようだったし、祝日には玄関に日の丸を飾ったり、お祝い事があればお赤飯を炊いたりしていた。

けれど、祖父母がいなくなると段々年中行事は簡素化していき、ひとり暮らしとなったいまは本当に最低限のことしかしなくなった。おそらく日本中そうだろう。

その代わり、クリスマス、バレンタイン、ホワイトデー、恵方巻きなどなど商人の考えた行事は定着していっている。作法も礼儀もないし(恵方巻きにはお下品な食べ方の作法があるが)、簡単だから大家族だろうがひとり暮らしだろうが関係ない。

クリスマスもバレンタインも季節の風物詩的なものになったが、昔々の日本の風情はほぼ姿を消しつつある。それを考えると「祝日に日の丸飾ろうかな……」という気持ちになる。祝日の早朝、日の丸を玄関に飾る祖父の姿を想い出すと厳かな気持ちになるし、どこかで伝統を守りたい気持ちも強くある。よーし、今年は小さな日の丸でも買うか。そうやって日本の伝統を守り伝えていかないとな。

あっ!

伝える人がいなかったわ。

こんな風にしてもう20年か30年経ったらもっともっと日本の伝統は姿を消して新たな風物詩が生まれていくんだろうな。100年後の日本はいまとは全く違った姿になっているかもしれない。江戸時代や明治時代といまが全く違うように。