活字の森 思考の迷路

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【映画】憧れを超えた侍たち

 

映画情報

監督/撮影:三木慎太郎

製作国:日本 「憧れを超えた侍たち」製作委員会

公 開:2023年6月

茶々丸的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️☆

 

STORY

2021年12月、誰よりも野球を愛し、選手を愛する指揮官・栗山英樹氏の熱き魂の全てを捧げる日々がはじまった。目標は2023年3月開催「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」での3大会14年ぶりの世界一。史上最強にして最高と言われる侍ジャパンがいかにして誕生したのか。完全密着したチーム専属カメラだからこそ撮影できた試合だけでは見ることができない貴重映像とともに侍ジャパン世界一への軌跡を振り返った完全密着ドキュメンタリー映画

 

 

私は野球が好きである。

今年のWBCがあったからとか、大谷翔平選手が男前だからとか、そういう理由で突然好きになったわけではなく、小学生のときから好きだった。ちなヤクでありちなハムである。

そんな私なので今年のWBCは本当に楽しませてもらった。WBCロスになるくらい楽しかった。なので、今回のWBC日本代表に密着したドキュメンタリー映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」も当然映画館へ観に行きたかったが、いろいろあって行くことができなかった。悲しいなあと思っていたのだが、なんと上映終了してすぐにアマプラで見られるようになったではないか!本当に本当にAmazonさんありがとう。

 

というわけで、先日やっと見ることができた。

野球好きなら観たら感動すると思う。

試合に密着しただけかといえばさにあらず。

2021年12月に栗山英樹さんが代表監督に選ばれ、白井一幸ヘッドコーチをはじめとするコーチ陣とともに選手選考の会議をするところから始まっている。

ここで栗山監督が一体どんな人物なのかあらためてわかる。本当に野球を愛しているし、選手たちを愛しているし、情熱がある。もしも会社の上司がこんな人だったら、ある意味大変かもしれないが働きがいがあるだろうなと思った。

 

そしていよいよ選手たちも始動する。

大会直前に行われた宮崎合宿。最初から参加したダルビッシュ有選手の献身に感動。

途中から合流した大谷翔平選手とラーズ・ヌートバー選手。大谷選手が入ってきただけで画面の中がパアッと明るくなる。どれだけすごいオーラなんだよ、と思う。

 

この映画はドキュメンタリーだけあって、ダグアウトからベンチ裏まで撮影されているので、試合中の選手たちの心の動きまでもがわかるようになっている。

例えば、3月10日、走塁中に右手小指を骨折しながらも6日後の準々決勝イタリア戦で復活した源田壮亮選手、その決意と栗山監督の苦悩。また、準決勝のメキシコ戦で被弾してベンチ裏で涙を見せる佐々木朗希投手の姿などなど……試合観戦だけではわからないところまで見ることができた。

本当はもっと見たいところもあったけれど、そんなことをしていたら2時間9分の中に収まらないから仕方がない。また、YouTubuにはよくまとめた素敵な動画もあるので、私は未だにそちらも見ていたりする。

そのくらい、今年のWBCは本当によかった。

次回の2026年大会はもちろん監督は栗山さんじゃないだろうし、当然、メンバーにも変更があるだろう。そのときも今年ほど感動できるだろうか。

 

 

ここからは映画の話ではないけれど……

アメリカでは野球人気の衰退は激しく、どうにか若者層のファンを増やそうと今年からピッチクロックが導入された。

2刀流の大谷選手はこのピッチクロックのせいで試合中の疲労が半端なさそうに見える。最近では時間いっぱいまで投手に与えられた15秒を使っているが、それでも投手から打者、打者から投手への頭の切り替えは大変だろうし、何より打席に立つときには普通の野手よりも体を守る装備をたくさん装着しなければならないのでそれも大変そうだ。

私はピッチクロックなんてなくなればいいのに、と最初は思った。

しかし、試合の進行の速さに慣れてしまうとそれはそれで快適さを感じる自分がいる。いまはスピードが重視される時代。私だってYouTubuやテレビで録画した番組を倍速で見たりしているので、やはりいまどきの若者と(ちょっとだけ)同じように長尺のものは見ていられない体になってしまったのだと思う。

しかし、ドカベンの山田と里中のドラマはピッチクロックがない時代じゃないとできなかっただろうな。すっごい長々とテレパシーのような会話が繰り広げられてたからな。

そうそう、ドカベンで思い出してしまったけれど、エンゼルスのフィル・ネビン監督。監督としてはまだまだ経験が浅いせいか、もうちょっと頑張ろうよとか爪が治っていない翔平を投げさせるなよ!とかいろいろ思ってしまうんだけど、彼を見ていると「野球狂の詩」の五利監督を思い出しちゃうんだよな〜……なぜでしょうか。

そして、「ドカベン」「野球狂の詩」の作者・水島新司先生がご存命だったら大谷選手のいまのMLBでの活躍を本当にお喜びになっただろうなと思う。

 

顔が似ているとは言い難いが、大谷選手を殊更オトコマエに描いていないところがミソなんだろうか。

そしてプロ野球ファンはこの”夢”を、いつまでも見ていたいのです。1日でも長く……」という言葉にじーんとくる。

本当に1日でも長く見ていたいと思う。だから、いまエンゼルスの投手陣が壊滅状態なのはわかっているが、爪が完治するまで投げさせないでほしいと思ってしまう。大谷選手は責任感が強いし、胃腸炎でも投げてしまうような選手だから、投げてくれる大谷選手に甘えるのではなくて逆に断固止めてほしいと思ってしまう。大谷翔平エンゼルス大谷翔平なだけではない。いまやMLBを代表するスターのひとりだし、それ以前に日本の至宝だ。日本の宝の選手寿命を縮めるようなことは本当にやめてほしい。渡米してすぐに怪我に泣いた大谷選手をチームとして大切にしてくれたことには感謝しているんだけれども。

あ、映画の感想よりも長くなってしまった!(笑)

 

そうそう、「憧れを超えた侍たち」をまだご覧になっていない方は最後の最後まできっちり観てくださいね。もう終わったと思って気を抜いたところでおまけが出てきます。

このおまけが実にいいです。