活字の森 思考の迷路

読んだ本や考えたことなど徒然なるままに書いていきます

やさしい光景

先日、住宅街を歩いていたら素敵な光景を目にした。

ふと前方を見ると交差点のかなり手前で左折のウインカーを出したままちっとも曲がらないワンボックスカーを見かけた。

あまりにも動かないのでどうしたのだろうと思ったが、交差点に来てその謎が溶けた。

曲がり角に手押し車に幼児を満載にした保育士さんがひとり。そしてあちこち勝手な方向に歩いていこうとする3〜4人の幼児を一生懸命まとめようとしている保育士さんがもうひとり。

ワンボックスは保育士さんを焦らせないように、また幼児を怖がらせないように、彼らが交差点を去っていくのを離れた場所で待っていたのだった。

運転していたのはお孫さんがいても全然おかしくない年齢にお見受けできる男性だった。

保育士さんと子どもたちを見守る目がとても優しかった。

もしかしたら自分の子どもの小さい頃かお孫さんのことでも思い出していたのかな?

こういう人生経験の現れ方はすごくいいなと思った。

私はまだ動かないワンボックスを追い抜きざまにこの運転手さんに雪崩のごとくよきことが起きるように呪いをかけた(笑)。

ワンボックスカーはどこかのおしぼり業者さんの配達の車だった。優しい運転手さんにお仕事でもいいことがたくさんあればいいなともうひとつ呪いをかけた。

ニュースでは怖くなるようなこと不安になるようなことばかり目にするが、身近なところにはまだまだ心が洗われるような出来事がある。不安の種を撒き散らすよりも小さなしあわせをあつめて明るい気持ちでいたいと思う。

その意味であのおしぼり屋さんの男性は私にもハッピーを分けてくれたのだった。