戦争について考えたふたりの若者
櫻井翔さんが日本テレビ「news zero」で行ったインタビューで炎上している。
「アメリカ兵を殺してしまったという感覚は?」という質問があまりに心ないので、これはもしかしたら台本に書いてあったのかあるいは左に寄ったディレクターの指示による質問だったのかとも考えたが、しかしすでに大御所と言っていい櫻井さんならこういった質問を断ることもできるだろう。櫻井さんともあろう方がどうしてしまったかと思ったが、NEWS WEEK日本版に戦争についての長い文章を寄稿しているところを見ると、おそらくあの問題の「アメリカ兵を殺してしまったという感覚は?」という質問も櫻井さんの生きた言葉だったのだろう。
「赤紙で一兵卒として徴兵されるよりは、若き海軍将校を志すなぁ自分なら。親戚の選択に納得!」というNEWS WEEKの記述も櫻井さんの正直な気持ちだろう。
私の周りにもKO大のライバル校出身の方で人の行動に対して全てを否定し「俺ならこうする」「俺なら10分でできる」という人がいるが精神構造が少し似ているのかな?念のため書き加えておくとこのW大卒業の知人も根は悪い人ではない。何ならちょっとお人好しのところもある。人間には様々な側面がある。
と、ここで思い出したのが百田尚樹さんの「永遠のゼロ」だ。
この本には入ってすぐに出世して兵士の上に立つ将校はあまり役立たないことも、家が貧しくて仕方なく海兵団を志願した者も多かったことが書いてあったように記憶する。私は子どもの頃、自分の祖父を始め戦争経験者の体験談を聞く機会が多かったが、永遠のゼロで百田さんが書かれたように胸を締め付けられる体験ばかりだった。
それに、将校になりたくともそれなりの学校へ行くにはやはり先立つものが要る。将校を目指せるのはほんの一部の人だけだ。
そして、今回の櫻井さんの件でもうひとつ思いだしてしまったことがある。それは大野智さんが嵐を辞められなかった問題。言語化するのは難しいが、今回のこういう感じで「嵐を畳みたい」と言った大野さんの希望も叶えることができなかったのだろう。
大野さんが辞められなかった問題を考えるとどうしてもマイケル・サンデルの「トロッコ問題」を思い出して嫌な気持ちになる。
嵐の場合は4人いる側ではなく1人いる側にトロッコが突っ込んでいった感じがする。1人というのはもちろん大野さんだ。
4人は嵐を続けたい。ファンも嵐を継続してほしい人がたくさんいる。だから、大野くんは我慢しようね。その代わり2年間のお休みをあげるよ、と。
あなたは友人と5人でとある会社のペットの洋服を作る部門に所属している。折からのペットブームもあり、5人が企画し作るペット用の洋服は大流行。
しかし、ある日あなたは思う。「今度は人間の洋服を作りたい」。
しかし、5人で頑張って盛り立ててきた部門なのだから転職は許さない、じゃなかった、お願いだからずっと一緒にやっていこうと4人は引き留める。ペットの洋服のファンも引き留める。5人で企画して作るペットのお洋服だからいいの。そうでなければ価値がないの。
あなたは代わりに長いお休みをもらった。
けれど、家で休んでいるとスマホが鳴る。
「いま、クライアントがいるからクライアントにも君の声を聞かせてあげようと思って電話しちゃった。てへ」
怖い。転職できない会社怖い。
私は特に芸能界にファンはいないし詳しくないが、ジャニーズを見るとTOKIOもV6も潔い気がする。
話を戦争に戻そう。
そして、前述した「永遠のゼロ」といえば三浦春馬さんだ。
春馬さんもこの映画への出演をきっかけに戦争について深く考えたようだ。
そして春馬さんは毎年靖国神社へお参りするようになり、そのせいで事務所からの冷遇がはじまったと推測するファンがたくさんいる。
それでも春馬さんは靖国参拝を止めなかった。彼は行動で英霊に感謝の意を伝え続けた。それは並大抵の精神力ではできなかったと思う。本当に感謝と愛のある人だったのだなと思う。惜しい人がこの地上から消えてしまった。
ふたりとも戦争について真剣に考えた。
受け止め方も反戦への考え方もまるで違うけれど、ふたりとも平和を願っていることだけは変わらないはずだ。