活字の森 思考の迷路

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【読書】「脱力のすすめ」小林正観

 

今回はこのブログに度々登場している小林正観さんの本「脱力のすすめ」をご紹介。

 

人はなぜか苦しい思いをして努力しなければ幸せは手に入れられないと思いがちだ。例えばいい学校へ行けば幸せになれるからと頑張って何時間も勉強し、いいプロポーションを手に入れればモテるから幸せになれるに違いないと無理なダイエットをし、幸せになるためには何かと引き替えにしないといけないんじゃないかと「○○をしますから願いを叶えてください」と取引のような言葉で神さまに手を合わせる、とか。多くの人が幸せになるためにつらい思いをしているといえばいいだろうか。

しかし、「はじめに」に以下の通り書かれているように小林正観さんの考え方は全くの逆だ。

 

 幸せになりたいのであれば、幸せになるための努力やがんばりはいりません。幸せになるための方法論は、「いま、自分が幸せである」と認識するだけだからです。

 

「脱力のすすめ」を書いたとき正観さんは糖尿病のため目もよく見えず足腰も弱っていた。実際、この本を出版した翌年にお亡くなりになっている。しかし正観さんは自分にできること、多くの仲間に恵まれていること、本を出版し多くの人に読んでもらえることなど幸せであることをたくさん感じ、幸せであることをたくさん認識し、幸せの中に生きていた。そう、身の回りにあるもの、出来事、人々に感謝をしていくことこそが幸せになることだと正観さんは考えていたし、正観さん自身がそうであった。この本で正観さんは「幸せになりたい」という人に、感謝をすることによって感謝をされた人びとを味方に付け、いろいろなことに喜びや幸せを感じ感謝をする「脱力のすすめ」を説いている。肩肘張って幸せになるためにがむしゃらに頑張るのではなく、がんばらずに生きる=脱力して生きることで幸せになる方法を優しい言葉で教えてくれている。

ただし、正観さんの基本的な考え方は「人生はシナリオ通り」というもので、人生に起きる全てのことは生まれる前に全部決めてきたのだという。言い換えればいま一部でよく言われている「人間に自由意思はない」ということだ。正観さんの場合はそれを頭の中で考えたわけではなく、学生時代から精神世界のことを研究してきた結果得られた答えだ。私自身はそれって自分自身がアバターみたいでつまらないなあと思うが、文字通り脱力したいときには正観さんの本を読むとなんとなく落ち着くことができるし、人に対して優しい行動を取れるようになる。

ではどうしたら脱力して生きていかれるのだろうか。

 

投げかけたものが返ってくる。

笑顔や明るい言葉を投げかけた人は、笑顔や明るい言葉に囲まれる。

 宇宙法則のひとつに、「投げかけたものが返ってくる」というものがあります。

 自分が投げかけたものが返ってきます。自分が投げかけないものは返ってくることはありません。

 同じように、愛すれば愛され、愛さなければ愛されない。

 嫌えば嫌われ、嫌わなければ嫌われない。

 

 

「ええっ、アタシ彼のこと愛してるけど片思いよ!そんなの嘘よっ!」って人もいそうだけどな〜とチラッとだけ思っておく(笑)。けれど、数人がいる部屋に不機嫌な人がひとり入って来るだけでもその部屋の空気が悪くなる。何も言わなくても思いは伝染する。やはり自分が笑顔なら笑顔が返ってくる確率の方が断然高いのはわかる。自分が人に優しく笑顔で接していれば人も同じようにしてくれて幸せに過ごせるというものだ。

正観さん曰く投げかけには、「心」「言葉」「行動」の”三コ”が重要とのこと。

 

」とは、自分が「喜ばれるように生きる」という方向付けをすることです。

言葉」とは口から出る言葉を喜びや感謝の言葉にすること。

行動」とは、実践することです。トイレ掃除をすると臨時収入が入ってくるという話を聞いて、頭の中でトイレ掃除をしても、実践しなければ臨時収入が入ることはありません。

 「投げかけ」は、「心」「言葉」「実践」がともなっていることが重要です。

 

 

1年のほとんどを講演活動に費やしていた正観さんの元には大勢の人たちが悩み相談に来たそうだが、そういう悩みや苦しみはみんな自分の「思い通りにしたい」という「思い」から生じていると正観さんは考えており、確かにその通りだと思う。人間関係の悩みも家族感の悩みも大体相手が自分の思うようになってくれないから悩むんだよな、と。そこで正観さんのおすすめは「思いを持たない生き方」。家族、上司、友人に「こうなってほしい」「こうしてほしい」という「思い」を持たない生き方。これはわかる。私はどちらかというと幸福を感じている時間が長いし他人に対して怒りを持つことはほとんどないというかほとんど怒らない人間だが、人に対してそういった期待や思いを持ってないからだと思う。「思い」を持たないのはストレスを感じることもなにのでおすすめ。

 

また、正観さんといえば「愚痴、不平不満、泣き言、文句、悪口」を言わない五戒が知られているが、何かトラブルが起きたときにそれらを一切言わずにいると、後日、想像もできないような楽しい出来事が神さまから届く、というのが正観さんが五戒をすすめる理由だ。人間としてもこれらの五戒を言わない人の方が気持ちがいい。私も次に何かトラブルやアクシデントが起きたときにこの五戒を守ってみようと思う。いつも心がけてはいるのだが人に話すときについつい泣き言が混じってしまいがちになる。反省反省。

 

幸せになるためには「喜ばれる存在になること」だと正観さんはこの本でも説いているが、「喜ばれる存在」とは頼まれごとを引き受けていくこと。頼まれたことは断らずに全て引き受けていくと道が開けていくらしい。「頼まれて、こき使われて、疲れ果てて死ぬ。これが人間の生き方です。」と正観さんは書いているが、これには正直「う〜ん」となってしまう。人の役には立ちたいし、感謝されることは嬉しい。生き甲斐にもつながる。なんだけど、人生にはしなくてもいい苦労があるのは体験的に知っている。実は数ヶ月前にどうしても我が社で働いてほしいと懇願されたことがあり、自分的にもその方が生活が楽になるし正観さんのこの考え方も知っていたので悩んだが、どうしてもその会社にお世話になることが自分の幸せにつながるとは思えずに断ってしまった。ここには書けないようなよろしくない問題を多々抱えていた会社であったし、「疲れ果てて死ぬ」ということだけが目に見えていた。私はその会社のために「疲れ果てて死ぬ」ことが幸せだと思えなかった。

 

ほかにもこの本には子育てについても書かれているが、未婚子なしの自分が語るのはどうかと思うのでそれはここでは割愛。ただし、そんな自分でも「なるほど〜!」と感心することがたくさん書かれていたのでお子さんのいらっしゃる方には是非一読してもらいたいと思う。

 

この本の結論を言えばただただ感謝をしながら生きていくだけで人生はスムーズに流れるようになり、状況が一変し、幸せになるということのようだ。

 

 私たちがこの世に生命を授かった意味は、まわりの存在に光を発していくためです。人生に努力やがんばりはいりません。

 ただ笑顔で感謝をし、光を発して生きていくだけです。